2013年06月11日
奄美の本 新刊のご紹介 『奄美八月踊り唄の宇宙』
新刊のご紹介です。

海風社刊 南島叢書94 『奄美八月踊り唄の宇宙』 定価2,100円 A5版 252頁
奄美の本土復帰60年の節目にあたって南島叢書第94巻めにして初の 「奄美の八月踊り唄」の現代語対訳付の本格的論考が刊行となりました。
著者の清氏は奄美三世であり、もうお一人の著者富島氏は奄美在住にして太平洋戦争とその後の復帰運動を経験した筋金入りのあまんちゅでいらっしゃいます。その富島氏が根気強く収集記録をおこなった古仁屋に伝わる「八月踊り」の時に歌われる「八月踊り唄」をベースに清氏が対訳を仕上げ、そこに民俗学的視点からの奄美の文化・芸能論を展開しました。
「奄美の八月踊り唄」の男女の掛合い唄こそが、ひとのコミュニケーションの原点であり、現代人が失い欠けている《生命感の回復》と《共感的絆の回復》を気づかせてくれています。
この共著者お二人の出会いは清眞人先生の前著『根の国へ~秀三の奄美語り』南島叢書89 出版より更に1年前の2007年にさかのぼらなければなりません。

初めて「古仁屋八月踊り」の練習を見学した清先生が、そこで古仁屋八月踊り保存会会長をつとめていらした富島甫さんと出会い、大学生を連れての夏合宿の都度都度に富島さんを尋ね、この『奄美八月踊り唄の宇宙』出版の構想が徐々に固まっていきました。
その間、私は清先生から見せられた手作りの歌詞集(富島さん作)に大変驚き、同時に興味を持ちましたが、果たしてこの方言歌詞の現代語訳がどのようなものになるのか不安がありました。
というのも基本的にこの「八月踊り」の形態が本州のいわゆる盆踊りに似ており、その踊りの時に謡われる歌が相聞歌とはいえ、どれだけ現代語訳にして深みのあることばになるのか正直心配でした。
正確を期すために直訳に頼っては、男女の掛合いの機微が生かせない。難しい作業になるだろうと思っていましたが、訳された言葉は奄美の土着の素朴さを残しながら、強い即興性と、掛合いそのものが持つ男女間の精神の高揚感を見事に著すものでした。
八・八・八・六という短いフレーズの中に男女の思いのたけを閉じ込めて昇華させている中世から始まったであろうこの「奄美の八月踊り唄」の中に人が人らしく生きる根本の力であるコミュニケーションの巧みさを見る思いがするのです。
興味のある方は是非読んでみてください。海風社のホームページからは一部立ち読みもできます!

海風社刊 南島叢書94 『奄美八月踊り唄の宇宙』 定価2,100円 A5版 252頁
奄美の本土復帰60年の節目にあたって南島叢書第94巻めにして初の 「奄美の八月踊り唄」の現代語対訳付の本格的論考が刊行となりました。
著者の清氏は奄美三世であり、もうお一人の著者富島氏は奄美在住にして太平洋戦争とその後の復帰運動を経験した筋金入りのあまんちゅでいらっしゃいます。その富島氏が根気強く収集記録をおこなった古仁屋に伝わる「八月踊り」の時に歌われる「八月踊り唄」をベースに清氏が対訳を仕上げ、そこに民俗学的視点からの奄美の文化・芸能論を展開しました。
「奄美の八月踊り唄」の男女の掛合い唄こそが、ひとのコミュニケーションの原点であり、現代人が失い欠けている《生命感の回復》と《共感的絆の回復》を気づかせてくれています。
この共著者お二人の出会いは清眞人先生の前著『根の国へ~秀三の奄美語り』南島叢書89 出版より更に1年前の2007年にさかのぼらなければなりません。

初めて「古仁屋八月踊り」の練習を見学した清先生が、そこで古仁屋八月踊り保存会会長をつとめていらした富島甫さんと出会い、大学生を連れての夏合宿の都度都度に富島さんを尋ね、この『奄美八月踊り唄の宇宙』出版の構想が徐々に固まっていきました。
その間、私は清先生から見せられた手作りの歌詞集(富島さん作)に大変驚き、同時に興味を持ちましたが、果たしてこの方言歌詞の現代語訳がどのようなものになるのか不安がありました。
というのも基本的にこの「八月踊り」の形態が本州のいわゆる盆踊りに似ており、その踊りの時に謡われる歌が相聞歌とはいえ、どれだけ現代語訳にして深みのあることばになるのか正直心配でした。
正確を期すために直訳に頼っては、男女の掛合いの機微が生かせない。難しい作業になるだろうと思っていましたが、訳された言葉は奄美の土着の素朴さを残しながら、強い即興性と、掛合いそのものが持つ男女間の精神の高揚感を見事に著すものでした。
八・八・八・六という短いフレーズの中に男女の思いのたけを閉じ込めて昇華させている中世から始まったであろうこの「奄美の八月踊り唄」の中に人が人らしく生きる根本の力であるコミュニケーションの巧みさを見る思いがするのです。
興味のある方は是非読んでみてください。海風社のホームページからは一部立ち読みもできます!